海外旅行が好きな人、特にバックパックを背負って安宿に泊まりながらバックパッカー旅行をしたことがある人なら、一度は、海外で旅行者が集まるゲストハウスを経営したい!と思ったことがあるのではないでしょうか。
実際にタイでバックパッカーズを経営したいのですが、どうすればいいでしょうか。などの具体的なお問い合わせもいただきます。では、実際に日本人が海外でゲストハウスを運営することは、可能か個人的に検証してみたいと思います。
タイでゲストハウスを開くのは簡単!?
物価が安く世界中からバックパッカーが集まるタイランド。ゲストハウスはそこらじゅうにあり、いつも旅行者でにぎわっています。では、日本人がタイでバックパッカーズを経営することはできるのでしょうか。
できる・できない・でいえば、できます。
物価も日本に比べると安いので、物件だけで考えると、数部屋程度の物件なら家賃10万円以下で借りることもできると思います(バンコク中心部除く)
そして人経費は、タイ人1名月給3万円程度で4名を採用と考えても、日本で日本人正社員を1名雇うより安いとも言えます。
単純にここまでの話を聞いて、多くの人がタイでゲストハウスを開きと思うようです。
実際は、どうかというと、、、そんなに甘くありません。
タイで外国人が働くには、労働許可証が必要
実際にゲストハウスのための物件を見つけて、社員を採用しても、日本人は、外国人であるため、現地で働くためには、必ず労働許可証(ワークパーミット)が必要です。
そして自身のゲストハウスで働くためのワークパーミットを取得するためには、会社を設立する必要があります。
タイでの会社設立には、資本金はいくらでもかまいませんが、外国人が労働許可証を取るためには、200万バーツ(600万円弱)に設定する必要があります。
しかし、一部の特殊な場合(BOI)を除き、外国人が100%の資本を持つ会社を設立することはできません。ゲストハウスの場合には、たとえ、事実上、日本人が全て資本金を用意して、ビジネスを始めたといっても、会社設立の際の登記は、日本人はそのうちの49%とする必要があります。
また、外国人1名のワークパーミットを取得のためにタイ人4名を雇用して社会保険に加入する必要があります。
タイでゲストハウスを設立するために必要なもの
上記をまとめると、タイで日本人がゲストハウスの運営をするために必要なものは下記の通りです。
1. 200万バーツの出資金
2. 最低タイ人1名の株主
3. 最低4名のタイ人雇用
またさらに細かい条件をあげると、タイでは、国籍により最低給料額の指定があり、日本人がタイで働くためには、最低5万バーツ以上の給料と設定する必要があります。正確に言うと、5万バーツの給料に対する所得税を納める必要があります。
タイでゲストハウスを運営のための毎月かかる経費
ここまでの経費を単純にまとめると最低でも下記の経費がかかります。
会社設立のための資本金: 200万バーツ
※実際に200万バーツを準備する必要はありませんが、開業資金として最低このぐらいは準備しておいたたほうが良いと思います。
・ゲストハウス(賃貸)家賃 : 2万バーツ
・光熱費 : 5,000バーツ
・タイ人社員4名の給料(予想) : 5万バーツ
・その他に売上に対するVAT7%
・月次、年次経理処理費用
・タイ人社員の社会保険料会社負担分5%
・日本人給料に対する所得税5千バーツ程度(設定給料額による)
・会社の利益に対する所得税
かなり大雑把ですが、ゲストハウスを気軽に海外で運営といっても最低これだけの経費がかかります。
タイ人社員の給料は、かなり適当ですが、もし運営希望の人がタイ語ができなれば、英語、または日本語が話せる人材を雇う必要があります。そうなると、さらに人件費は上がります。
また、タイ人社員に会社設立の経験、毎月の経理処理の経験がない場合には、これらもコンサルティング会社に外注する必要があります。
その場合には、200万バーツの会社設立にかかる費用でおよそ5万バーツ、毎月の経理処理で5千バーツ、年次の決算処理で1万バーツ以上の経費がかかるのが一般的です。
日本人がタイでゲストハウスを運営することはできるか!?
ここまでを読んでいただけるとおわかりいただけたかと思いますが、タイでゲストハウス(バックパッカーズ、ユースホステル)をはじめることは、外国人でも可能です。
しかし、一般的に思われるような気軽にゲストハウスを経営しながら、海外でスローライフ♪とはいきません。
まずは、株主となりえる信頼できるタイ人を見つけることから始まります。
そして、毎月の固定費、家賃、給料、税金、自分の生活費など必要経費をゲストハウスの経営で捻出するこは、簡単なことではありません。
タイで日本人がゲストハウスを運営しているケース
上記のような難しいことを書きましたが、実際に日本人でタイでゲストハウスを運営されている人もいます。どういう人かというと、配偶者がタイ人の方、または、ゲストハウスからの収入がなくても生活できる方(退職者・富豪など)です。
これらの方の場合には、事情がことなるため、例外と言えます。
タイでのビジネス追記
今回は、ゲストハウスを経営という例で書きましたが、他のカフェなどのスモールビジネスの場合においても同じようなことが言えると思います。
物価が安く気軽にビジネスを始められるのがタイと言われていますが、実際に会社を経営しワークパーミットを取得し、生活するだけの収入を得えているケースは、数パーセント程度だと思います。
多くの場合には、数年で資金が付き会社を閉鎖という場合が多いような気がします。
※すべては個人的な主観での記事です。費用やタイの法律は、必ず専門家にご相談ください。